応用力の養成にはちゃんと時間をとる [勉強法一般]
勉強は知識を覚え、その知識を自在に使えるようにしていく作業です。これらのうち、時間がかかるのは後半部分、つまり、応用力を養う部分です。
そのため、受験勉強の長期的なスケジュールでは、応用力養成部分に十二分な時間を確保するようにしなければなりません。
ところが、現実には前半部分の「知識の記憶」で時間をとってしまっている受験生が多いようです。
「知識の記憶」は記憶術・記憶法を多少学べば効率アップできます。なにも記憶術を完璧にマスターする必要はありません。今より3割効率がアップするだけで大きな効果があるはずです。
記憶術のようなテクニックを使って効率化できる部分はさっさと効率化し、どうしても時間のかかる部分にたっぷりと時間を割り当てましょう。
覚えにくい事は繰り返し覚えなおす [勉強法一般]
勉強していると、覚えやすい事と覚えにくい事があります。その知識の難しさや自分の興味などによって、そういった違いが生じるんですね。
覚えにくい事に関しては、次の2つのアプローチで対処できます。
① 覚え方を工夫する
② 繰り返し覚えなおす
①の工夫もいろいろ考えられます。例えば、
● よく観察して規則性を見つけ出す
● 他と区別して目立つよう枠で囲んだり線を引く
● 突飛で印象的なイメージと結びつける
などがあります。
また、覚えにくい事でも、何回も復習をして覚えなおせば必ず覚えることはできます。
なるべく復習をしたくないのであれば、覚えるときに工夫する。覚えるときの工夫が面倒なら何回も覚えなおす。ということです。
ある勉強の達人の教え [勉強法一般]
吉永賢一さんって、知っていますか?
本を書いたりもしているので、知っている人も少なくないと思いますが、プロ家庭教師です。ご自身が偏差値93、東大理Ⅲ合格ということで有名です。
ちなみに、偏差値93というのはどれくらいスゴイのか?
ちょっと正規分布表を調べてみたところ、10万人中1位でも偏差値93には届かないことになっていました!
そんな吉永に言わせると、効率的に記憶するために最も重要なポイントは3つあるそうです。
「つなげる」ことと、
「またやる」ことと、
「外に出す」こと。
「つなげる」というのは、既によく知っている知識と関連付けて覚えること。理屈を理解する、内容を納得する、というのもコレの内でしょう。
「またやる」というのは、復習ですね。何回も復習するという事です。
「外に出す」というのは、インプットして溜め込んだ知識をアウトプットしてみることです。例えば、人に説明するとか、何も見ないでノートに書き出してみる、など。
勉強の達人の教えだけに説得力があります。
覚える作業に手抜きは厳禁 [勉強法一般]
記憶を定着させるのに復習は重要です。1年後にも記憶しているようにしたいなら、5回は復習したいところです。
一方、最初に覚えるときも大事なんですね。覚える内容を“納得して”覚えられるかどうかで、記憶に大きな差ができます。
背後にある理屈が理解できるかどうか。
なるほど、と思えるかどうか。
こういった事が重要なんです。
これと対極なのが、とにかく全部覚えていればなんとかなる、という発想です。
理解や納得を伴わない知識は覚えるのが大変ですし、なんとか覚えられたとしても使えません。
やはり、覚える時には面倒でも納得した上で覚えることが肝要です。
精度の高い勉強の計画 [勉強法一般]
みなさんは、大きな試験を受けるときに、勉強の計画を立てますよね。線表などでスケジュールを決め、「この通りにやれば、何とかなりそうだ」と思ったりしませんか?
でも、なかなか計画通りには進みませんね。
その理由はいろいろありますが、重要なポイントや難易度などが未知の状態で計画を立てることが大きな理由の1つです。
例えば、高校3年生になって大学受験のための勉強スケジュールを決めるとします。でも、その中には3年生で習う内容もたくさん含まれています。一般的な生徒であれば、未知の内容ですよね。どれ位難しいのかもわからずに、精度の高いスケジュールを作ることは困難です。
また、サラリーマンがある時、行政書士の資格を取ろうと思ったとします。その時点では、勉強内容は未知です。
このように、勉強内容が未知の状態で計画を立てることが多いのです。
それでは、どうしたらよいのか?
精度の高い計画を立てるのは少し後にして、まずは、“未知を解消する”ための計画を立てるのです。
非常に大雑把でかまわないので、勉強内容を俯瞰する(大雑把に内容を理解する)ための勉強を最初に行います。そのための計画を立てるわけです。
勉強内容を俯瞰できれば、精度の高い計画を立てやすくなります。
過去問中心の勉強 [勉強法一般]
試験の性格によって効果的な勉強法は異なります。
特に、過去問から類題が頻出する試験では、“王道的な勉強法”より“過去問中心の勉強法”の方が、遥かに効率的です。
● 王道的な勉強法
基本的なテキスト・参考書・問題集などである程度の基礎力をつけた後に過去問を解く。過去問の役割は、実力の確認と勉強の軌道修正を行う材料。
● 過去問中心の勉強法
試験勉強の初期から過去問を使う。過去問で繰り返し出題されているポイントから優先的に勉強する。過去問の役割は、勉強の優先順位や範囲を決めるための材料。
多くの資格試験では、過去問中心の勉強法が効果的とされています。社労士試験などは、その典型例です。
復習をするタイミング(その2) [勉強法一般]
復習をするタイミングを考えるのに、エビングハウスの忘却曲線は大きな手がかりとなります。
初めて学んだ事はその直後から猛烈な勢いで忘れていき、1時間後には半分も覚えていないのです。しかし、覚えている事が20%台になった頃からは忘れ方が非常に緩やかになり、2日後に覚えていることはその後もあまり忘れません。
このエビングハウスの忘却曲線は、単純な事項の暗記について得られた結果なので、理論的な背景のある知識や、互いに関連のあるグループを記憶する時には少し状況が異なるかもしれません。
しかし、学んだ直後に急速に忘れるという部分はあまり変らないと思います。
いずれにしても、エビングハウスの忘却曲線が示唆する効果的な復習方法は、学んでから1時間以内に最初の復習を行うというものです。半分忘れる前に一回復習することで、効率よく記憶に残す事ができます。
もちろん、1回だけの復習では不十分であり、最低4~5回は復習したいところです。
復習をするタイミング [勉強法一般]
勉強した知識を定着させるためには、何回も復習する事が重要です。復習をする効果的なタイミングは、覚えた知識を忘れかける頃です。これは、記憶する知識や量、そのジャンルへの興味などによって時期が異なります。
しかし、タイミングが早すぎても遅すぎても効果的ではなくなります。
早すぎれば、脳は既に学んだ事だと知っているので、長期記憶を強化しようとしません。そのため、復習効果は薄いのです。
また、遅すぎれば、大部分の知識を初めから覚えなおすハメになり、2度手間となってしまいます。
勉強したはずなのに忘れかけているなと思ったら、復習をするタイミングだと考えてください。
多段階学習法 [勉強法一般]
インターネットなどで画像を表示する時に、まず荒いモザイクの画像が表示されて、次に少しだけ細かくなった画像が表示され、・・・と少しずつ画像が鮮明になっていって、最後にクリアな画像が表示される、という方式がありますよね。
勉強・学習でもそんなイメージのやり方があります。
つまり、最初はものすごく大雑把に概観するだけ。この段階では深く掘り下げる事はしません。
次に少し詳しく勉強し、3回目はさらに詳しく勉強し、・・・といった感じで行います。
この勉強法では、概観する段階では時間をかけてはいけません。概観する大きな目的は、本に例えれば“目次”や“インデックス”を作ることです。だいたいこんな感じの事を勉強し、こんな項目はこの辺に出てくるんだな、というイメージを最初に作るわけです。
だから、概観する段階では詳しい参考書を使ってはいけません。ついつい細部に入ってしまうからです。概観に向いている参考書は、とにかく薄くて内容が基本的なことに厳選されているようなものです。
概観は1週間とか2週間程度の短い期間で終わらせるようにします。
試験勉強における「くり返し練習」 [勉強法一般]
試験勉強にはスポーツや音楽などと同様に、「くり返し練習」の必要な部分があります。記述試験・論述試験の解答の書き方は、その典型的な例ですね。
いろいろな知識を総合的に使って解答を導くような応用問題も、そのような練習が必要です。
このような「くり返し練習」の必要な能力を高めるには、どうしても時間がかかります。その分を見込んで勉強のスケジュールを立てることが重要です。
例えば、大学受験においては、「くり返し練習」に1年間は見込んでおきたいところです。つまり、通常の高校の授業にあわせて勉強していたのでは間に合わないということです。